ピロリ菌外来とは
ピロリ菌に感染すると、多くのケースで胃粘膜が慢性炎症を起こし、慢性胃炎(萎縮性胃炎)へと進行していきます。
この萎縮性胃炎は「前がん状態」とも呼ばれ、胃がん発症リスクが高い病態です。
そして、日本人の胃がんの多くピロリ菌が関与していることがわかっています。
胃がんの発症を防ぐ意味でも、ピロリ菌の除菌が大いに推奨されます。
感染経路について
胃の中でピロリ菌が感染に至るまでの過程ですが、その感染経路につきましては現在のところ完全に明らかとはなっていません。
ただ胃内に定着することから、口から入って胃に感染するのではないかと考えられており、
多くの場合、幼児期に感染します。なぜなら、幼児期は胃内の酸性が弱く、ピロリ菌が生き延びやすい環境下にあるからと言われています。
それゆえに母(保護者)から子どもなどへの家庭内感染が疑われています。
とくにピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。
感染の有無を調べる検査について
当クリニックでは内視鏡によるピロリ菌検査を行っております。
内視鏡の検査では、胃内の様子を観察すると同時に、内視鏡で採取した胃の組織を用いるなど3つの方法(迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法)で検査をします。
- 迅速ウレアーゼ試験
- ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作り出されるアンモニアの量を調べて、ピロリ菌の有無を調べます。
- 鏡検法
- 採取した胃の粘膜の組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。
- 培養法
- 採取した胃の粘膜の組織を用いて培養(5~7日ほど)し、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。
除菌治療について
ピロリ菌の感染が検査で確認されたら、除菌治療を行います。
治療は薬物療法ですが、胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質、合わせて3種類の薬を朝夕の1日2回、1週間内服します。
そして服用を終えてから約2ヵ月以上が経過した後、除菌療法の効果を判定します。
なお、医師の指示通りに薬を正しく服用していたとしても、除菌に失敗することもあります。
1次除菌薬の除菌率は80%以上と言われています。
1次除菌薬で除菌できなかった患者様には、抗生物質の組み合わせを変えた2次除菌薬による治療を行います。
2次除菌薬による除菌率は90%程度であり、多くの患者様が1回もしくは2回の治療で除菌をすることに成功しています。